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紙芝居:『幸福の王子』 〔中編〕

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 次の日、〔つばめ〕は〔王子〕に言いました。
「僕は《南の国》に行かねばなりません。どうかお元気で・・・」
 ところが〔王子〕は、「つばめよ、つばめ、小さなつばめ。もう一晩だけ、ここで泊まってはくれないか。・・ほら、向こうの屋根裏部屋が見えるだろう。そこで、何日も何も食べずに《子供の為のお話》を書いてる若者がいるのだ。そこに、私の《目》のサファイアを持って行って欲しいのだよ。」と言いました。
「とんでもない!〔王子〕の目だなんて・・」とつばめはびっくりして反対しましたが、〔王子〕の気持ちは変わりません。
 つばめはしかたなく、〔王子〕の目からサファイアを取って、その若者の所へ、そっと運びました。
 そのサファイアに気がついた若者は「なんと見事な宝石だ!きっとこれは金持ちのファンからのプレゼントに違いない。・・これでこのお話を仕上げることができるぞ!」と(このハッピー野郎の)若者は見る見る内に幸福な顔になっていきました。
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 その次の日、つばめは〔王子〕に言いました。
「今日こそ、僕は《南の国》に旅立ちます。さようなら・・」
 ところが、〔王子〕は「つばめよ、つばめ、小さなつばめ。これが最後のお願いだ。もう一晩だけここに泊まってはくれないか?」
 「とんでもない!これ以上ここにいたら、僕は寒さで死んでしまいます」とつばめは答えました。
 しかし〔王子〕は悲しそうに言葉を続けました。
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「あのマッチ売りの少女を見てごらん。水溜りにマッチを落として泣いている。靴も履かず、頭に帽子も被ってない。あのまま帰れば、父親に打たれるのだ。・・つばめよ、つばめ。もう片方の《目》をあの少女に届けておくれ」
「そんなことはできません。もし、そうしたら〔王子〕は目が見えなくなってしまいます」とつばめは答えましたが、〔王子〕の気持ちは変わりません。
 つばめは胸が一杯で、もう何も言えませんでした。
 そして〔王子〕の目を咥えると、空に舞い上がり、そっと少女の手の中に落としました。
「まぁなんてキレイな石でしょう!」と少女はニコニコ顔で、家に帰って行きました。

 〔王子〕の所へ戻って来たつばめは、「・・僕はもう、どこへも行きません。これから〔王子〕の目の代わりになります」と静かに言いました。
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 それからというもの、町には忙しく飛び回るつばめの姿が見られました。
 困っている人、悲しんでいる人を見つけると、つばめは〔王子〕に話しました。
 そして〔王子〕はの体の《金箔》を一枚、一枚剥がさせて、つばめに届けさせるのでした。 つづく・・・