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紙芝居:『あわてもののうさぎ』 (後編)

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 動物たちは、今や理由もわからずパニックとなり、ただただ海に向かって暴走していた。
 そんな動物たちの姿を見ていた〔ライオン〕の王様が、けらいのサルに聞いた。
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「いったい、何が起こったのだ!」
 するとサルは「はい、王様。大地が裂けているそうです。・・それで皆、逃げ出しているのです」と答えた。
 ライオンは「何だと、大地が裂ける?・・とはいえ、あのまま進めば皆、崖から荒海に落ちて死んでしまうぞ・・。これは止めねば!」と言って、急いで動物たちの後を追いかけた。
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「おーい、待て待て!みんな慌てるな!このまま進めば、皆崖から落ちて死んでしまうぞ!」とライオンはみんなを止めた。
「でっでも王様、大地が裂け始めているのです。急がねば!」とトラが言うと、ライオンは・・、
「では聞こう。この中の誰なんじゃ?大地が裂けているのを見たというものは?」と問うと、トラは・・、
「はっはい、それは確かウシ君が・・見たとか。なぁそうだろう、ウシ君?」と言うと、
ウシは「いいえ、私はシカ君に、そう聞いたので」と答えた。
 そしてシカは、それをうさぎ達に聞いたと答えた。
 ライオンは「では聞こう。お前たちうさぎの中で、大地が裂けるのを見たものはおるか?」と言うと・・、
「はい、」と一匹のうさぎが返事をした。
そして、ピョンと前に出てきて「王様、私が『ドッカーン!』という大地が裂ける音を、この耳で聞いたのでございます」と答えた。
 ライオンは「では、その場所に案内しておくれ」と言い、うさぎを先頭に動物たちは皆ゾロゾロとついて行った。
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「確かこの辺でございます」とうさぎは、元居た場所に着いた。
 ライオンは「それにしても、地割れの後が無いぞ」とライオンは辺りを見回し、・・そして突然笑い出した。
「ワッハハハッ!うさぎが聞いたのはコレが落ちた音だったのだろう」と、大きな〔ヤシの実〕をライオンは指差した。
そしてライオンはみんなに言った。
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「みんな、良く聞きなさい。うさぎが聞いたのは、この〔ヤシの実〕が落ちた音だったのだ。皆、訳もわからぬ事に慌てて、心を動かすようではダメだ。正しく見聞きして話さなければダメだ。もう少しで皆は、荒海に落ちて命を失うところだったのだぞ。どんな事があっても、心をグラつかせないような訓練をせねばいけないな!」と話した。
 あわてもののうさぎも恥ずかしそうに、それを小さくなって聞いていた・・・。

 実はこれ、〔おシャカ様〕の前世が《ライオンの王》であった時のお話なのだそうです。 おしまい