そして、娘はその日の夜、あっけなく亡くなってしまいました。
民部(みんぶ)の夫婦は、それは驚き悲しみました。
がしかし、氷のように冷たくなった亡骸はどうする事も出来ません。
隣近所や友人達が手伝い、その次の日、娘の遺体は野辺送り(火葬)となりました。
そして後に残ったのは、白い骨だけとなったのでした。
「これが、待ちに待った娘の嫁入り姿なのか?!・・おぉっ、おぉっ・・」
と、民部は変わり果てた娘の骨を手に乗せて、泣き崩れました。
・・そして、その夜、民部も同じように息絶えてしまったのでした。
又、妻も後を追うかのように、数日後、亡くなりました。(これは明らかに伝染病やね・・)
こうして、数日の間に一家全員が亡くなってしまったのでした・・。
そしてその後、親類縁者が集まって相談して、残された民部の家財道具一式は、家族が信仰していた蓮如上人のお寺に寄進されることになったのでした。
その時の事。縁者の一人が、蓮如上人に願い出ました。
「蓮如さま、民部一家の事は大変つらい出来事でした。
どうか、私たちに人の世の無常のことわりを表し・・、又苦しみを和らげる・・、そんな御文(ふみ)を書いてはいただけないでしょうか?
お願いいたします!」と。
「よし、わかった。すぐに筆を取ろう!」と蓮如上人は答えられました。つづく
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