住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:「安楽庵 策伝・伝」(その3)

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 豊臣秀吉公が亡くなってから、又、大きな合戦が起りました。
 働き盛りの男姓たちの多くが、そこで亡くなったのです。
 ・・次のエピソードは、筆者が、昔何かの本で読んだ、策伝記の小ネタを、少しアレンジしたお話です。
 この日、策伝さんは用事の為、戦場跡を歩いておられました。
 その時、一人の武士の遺体の前で、或る親子が大声で泣いていたのです。
 「わーんわーん、お父ちゃん、どうして死んじゃったのー!」、
 「あーっあんた~、私はいったい、この先どうすれば良いのー。この子たちをどう育てれば良いのー!」と。
 それを見て策伝さんは、居てもたっても居られず、手厚く遺体を埋葬しました。
 そして、読経しその親子を慰めました。
 が、親子は泣き止みません。
 そこで策伝さんは・・、
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 「・・お母さん、大丈夫! 仲良い夫婦のあんたらが、ふーふーと言うて、作った子やろ。子供は強いもんや。子供は『風の子』ともいう。ふうふ~、フウフ~~の子なんや。何かあったら、お父さんが極楽から『いつまでも夫婦のわしが守るでー』と、風吹いて守ってくれんでー。ふ~ふー、とな。」と言いました。
 「・・ん、お坊さん?・・それシャレか?へんなしゃれ。くすっ。・・でも、私らを慰めてくれてるんやな。おおきに、おおきに。・・いつまでも泣いてたらあかんなぁ。頑張らな!」と、親子は御礼を言って去って行きました。
 この時、策伝さんは改めて、『笑いが、人の心を楽にすることもあるんや!・・わしも、自分が楽になる為に、笑いのネタを書き溜めてきたんやった。・・これを法話に入れて仏さんの話をしよ!それで、皆も救われる力が大いに上がるはずや!』と、[笑いの力の大きさ]を感じたのでした。
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 それから、策伝さんの法話には、難しい仏の話にも、笑いのオチを必ず入れて、皆に肩の力を抜いて聞いてもらうようになりました。
 特に、夫や家族を亡くした女性、又その子供にも親しみやすく法話をしたのです。
 その笑いのオチの部分は、小僧の時から書き溜めていた[おもろい小話]のメモが、たいへん役に立ちました。
 又、絵を使ってわかり易く法話をする『マンダラ絵説法』という手法も考え出されたということです。(それって紙芝居法話と、ちゃうの?・・)つづく

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