住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:『祇園精舎のはじまり』~スダッタ長者とギータ王子~(前編)

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり・・・」
 これは、有名な『平家物語』の一節である。
 この『祇園精舎(ギオンショウジャ)』とは何か?
 答えは、インドのおシャカ様の《お寺》の名前なのである。
 これは、その《お寺》の始まりのお話。
ファイル 167-1.jpg (仏教もの25)〔前編〕
 昔、インドのコーサラ国に、〔スダッタ〕という名の大金持ちの商人がいた。
 ある日、〔スダッタ〕は、商談の帰りに、隣国の兄の所へ寄った。
 が、兄は、おシャカ様の接待に忙しく〔スダッタ〕の相手どころではなかった。
 おシャカ様の存在を知らなかった〔スダッタ〕は、「この弟の私を、ほったらかしにする程、・・それ程、〔おシャカ様〕とはご立派なお方なのか?」と、次の日の朝、おシャカ様の滞在されている所へ向かった。
ファイル 167-2.jpg
 すると、偶然にも、おシャカ様は〔スダッタ〕の所へ歩いて来られた。
 そのおシャカ様の光輝くお姿を見た〔スダッタ〕は、「なんと、尊いお姿なのだろう!」とその場でしゃがみ込み、涙を流して合掌した。
 その姿を見ておシャカ様は、「そなたは、どちらのお方ですか?」と訪ねられ、〔スダッタ〕はそれに答えた。すると、おシャカ様は「おお、そなたはコーサラ国のお方ですか。私も一度、そなたの国に行ってみたいと思っているのです」と言われた。
 それを聞いて〔スダッタ〕は、「是非、おいで下さい!その時は、私めが、あなた様の《お寺》をお建てしてお待ち致しましょう」と言ってしまった。
ファイル 167-3.jpg
 それからというもの、〔スダッタ〕のお寺を作る為の場所探しの日々が始まった。
 そして、ついに〔スダッタ〕は良い場所が見つけたのだが、そこは、コーサラ国の〔ギータ王子〕の別荘地であった。
 〔スダッタ〕は〔ギータ王子〕に、何とかこの土地を売って欲しいと頼み込んだ。・・が、〔ギータ王子〕は首を縦に振らない。
 そして、その余りに執拗な〔スダッタ〕の願いに、根負けしてついに〔ギータ王子〕は、「この土地を《金貨》ですべて被い尽したら、分けてやる」と言った。
ファイル 167-4.jpg
その言葉の通り、なんと次の日から〔スダッタ〕は、自分の全財産を《金貨》に変えて、その土地に敷き詰め始めだした。
・・が、そう簡単に、そのような事は出来るわけがない。
 半分程、《金貨》を土地に敷き詰めただけで、全財産は無くなり、いつの間にか〔スダッタ〕は一文無しの男になってしまった。
ファイル 167-5.jpg
 (後編)へつづく・・・
 

 

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