余談ながら、六連島で道に迷った僕は、畑仕事をされていたご年配の方に「浄土真宗の西教寺(さいきょうじ)へは、どう行けば良いのですか?」と聞いた。
「その狭い道を曲がればすぐじゃ」と、その方は教えて下さった。
「こんな山の斜面に本当にあるのか?」と思いながら、その通りに行くと、すぐお寺に出た。
『あぁっ、ここか。おかるさんが通ったお寺は』と、ちょっと感動した。
西教寺ご住職は、北九州へ仕事の為、お留守とお聞きしていて、お電話で「お寺の戸は開いていますので、どうぞご自由に見学して下さい」と言われていたので、僕は中に入った。
そして、阿弥陀様にご挨拶した後、おかるさんの家から、本堂にそのまま持ってきたという囲炉裏のセット、[自在鉤(じざいかぎ)]を眺めた。
『わたしゃ、自在鉤 阿弥陀さま、こざる(=小猿という横木道具) 落しゃなさらぬ 火の中に』
これは、おかるさんが作った有名な歌の一つである。
文字が書けなかったおかるさんは、西教寺のご家族から歌を習い、その詩集は、お寺さんによって記録に残された。
この紙芝居に、これから登場するその詩も、それらのものである。
『あぁっおかるさん、あなたはこの本堂でご仏縁を頂き、救われたのですね・・』と、本堂の中から海を見ながら、僕はつぶやいた。・・以上余談。
西教寺についたおかるさんは、ご住職に自分の苦しい胸の内を打ち明けました。
すると、ご住職の[現道]師は、こう言いました。
「幸七のことは、おかるにとって、良かったのだよ」と。
おかるは「えぇっ!」と驚きました。つづく
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