住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:「妙好人 念仏詩人 浅原才市さん」(その6)

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 その後、才市さんは、55歳で故郷の島根県温泉津(ゆのつ)に帰って来て、下駄やさんを始めます。
 元々、船大工の才市さんでしたので、下駄を作るのは、た易い事だったのかもしれません。
(余談ながら、僕は才市さんが作った実物の下駄を見た事がある。思ったよりも小さいものであった。)
 才市さんは、仕入れきた桐の木にカンナを入れて、一つ一つ丁寧に下駄を作り上げていきました。
 カンナを動かすと、フワフワとカンナ屑が舞い上がります。
 この作業中、才市はいつしか、心の中で阿弥陀仏さまと信心の会話をするようになっていきました。(これを『口あい』といいます)
 そして、その会話が詩へと変わり、思いつくままにカンナ屑にその詩を書き写していったのでした。 
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 それでは、それらの詩のいくつかをご紹介しましょう。
 
『ナムは私で、アミダは親で、これが親子のナムアミダブツ』。
『ブツブツと、仏を喜ぶブツブツと、ナムアミダブツが仏のブツブツ』。
『ナムアミダブツが耳にいい、こころに受けるナムアミダブツ』。
『風邪をひくと咳が出る。才市がご法義の風邪をひいた。念仏の咳が出る、出る』。
『あなたの心と、私の心。こころコロコロ、くいあいでナムアミダブツの子が出来た。出来たこの子に助けられ、ご恩うれしやナムアミダブツ、ナムアミダブツ』。

 このようなカンナ屑に書かれていった詩は、いつしか九千首(一説では一万首?)を超えるようになっていったのでした。
 つづく

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