○仏教式キレない方法 (仏教もの34) 《相応部経典》より
昔、インドに《アッコーガナ・バーラトバージャ》という名のお坊さんがいた。(舌をかみそうな名前なので、ここでは縮めて《アッコ》さんと呼ぶ)
このアッコさんは偉い坊さんではあったが、おシャカ様が大嫌いであった。
・・というのも、自分の弟子が、みんなおシャカ様の元に去ってしまったからであった。
ある日、アッコさんはついにキレた!
そしておシャカ様のお寺に怒鳴り込んだのだった!!
「やいやいやい!よくも俺様の可愛い弟子たちを奪いやがったな。この野郎め!」と、さんざん悪口を浴びせた。
しかし、おシャカ様は顔色ひとつ変えずに言われた。
「アッコとやら、そなたの家にもお客は来るであろう。
その時、お前は〔ご馳走〕を出してもて成すだろう。・・もしその時、お客がその〔ご馳走〕を食べなかったら、その食事は誰の物になるであろうか?」と。
するとアッコさんは、「決まってるだろう!食事を取らなかったら、みんな俺様が後で食っちまうさ」と答えた。
それを聞いて、おシャカ様は静かに話し始めた・・。
「アッコよ、私はお前が持ってきた《悪口》という〔ご馳走〕は食べないぞ。つまり、聞かないという事だ。・・だから、〔悪口〕はすべて〔アッコ〕自身に帰るであろう」と。
「そんなのは屁理屈だ!」と怒るアッコに、おシャカ様はさらに冷静に説かれた。
「よく聞きなさい・・。他人の怒りに対して自分を静める者は、ふたつのものに勝つのだよ。ひとつは自分の心に、そしてもう一つは他人に勝つのだ・・。これ程大きな勝利はないだろう」と。
・・・この言葉にアッコさんは深く頷き、のちに自分自身もおシャカ様の弟子になったということです。 おしまい
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