住職のつぼやき[管理用]

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紙芝居:「妙好人 讃岐の庄松さん」(その6)

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又、或る日のこと。
 庄松さんは、お寺の境内で、幼い子供たちの子守をしておりました。
 その日は、本堂で庄松さんの大好きなお説教があったのですが、〔子守〕は、庄松さんの大事な仕事でしたので、聴聞することができず、悔しい思いをしておりました。
 又、この日に限って、子供達はなかなか泣きやみませんでした。
 ホトホト困った庄松さんは、そこで思い切って、「えいっ」と、逆立ちして足をバタバタしてあやしました。
 すると、ようやく子供達は面白がって泣きやんだのです。
 そこへ、お説教が終ったのか、本堂からどやどやと幾人かの大人たちが出て来て、庄松さんのその姿を見て、「あれれ、庄松、そりゃいったい何の真似じゃ。はっはっはっ」と笑いました。
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 それを聞いて、すかさず庄松さんは、「これは、お前達が地獄へ落ちてゆく姿の真似じゃ。よく覚えておけ!」と言い放ちました。
 きっと、自分だけお参りできないのが悔しかったのでしょうが、「どんなにお寺参りをしても、信心一つが無けりゃ、皆地獄行きじゃ、用心せよ!」と、言いたかったのかもしれません。
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 又、ある時。
 『庄松は信心が篤い』という噂を聞いて、一人の住職が尋ねて来ました。そして、
(住職)「庄松さんよ、お念仏申せば、阿弥陀様はどのような人も救ってくださるというが、あれはいったい、どういう事じゃろうのう?」と尋ねました。
 すると突然、庄松さんは両手を広げて立ち上がり、「それはこういう事じゃ!」と、住職に掴みかかろうとしました。
 びっくりした住職は、あまりに難しい質問をしたので、庄松はおかしくなったと思い、逃げ出しました。
 しかし、庄松さんは、両手を広げてどこまでも追いかけて来ます。
 住職は、いよいよ気味悪くなって、必死で家の中を逃げ回りました。
 ・・が、とうとう追い詰められ、「庄松に羽交い絞めにされる!もはやこれまでか!」と思った時、突然、庄松さんは、
(庄松)「これが、どこに逃げても、必ずもらさず救い取ってくださるという、阿弥陀様の救いじゃ!」と叫びました。
 それを聞いて、ハッとした住職は、庄松に深ぶかと頭を下げたという事です。
 つづく(次回、最終回)

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